ビューアビリティという言葉をご存知でしょうか?アドフラウド問題を背景として、ネット広告において新たに誕生した計測指標です。今日は、ビューアビリティについてまとめました。
ビューアビリティとは、ユーザーが閲覧できる可能性があった広告imp率のこと
ビューアビリティ(Viewability)とは、広告インプレッションのうち、実際にユーザーが閲覧できる可能性があったインプレッションの比率のことです。
例えば、とあるwebメディアでユーザーがページ遷移し、読み込まれたページの最下部にディスプレイ広告枠が存在していたとします。ユーザーが最下部に至る前にコンテンツを読むのをやめてしまったとしたならば、そのディスプレイ広告はロードされてはいるものの、ユーザーは視認できたとはいえません。
これとは逆に、ユーザーが視認出来た広告インプレッション比率のことを、ビューアビリティといいます。
ビューアビリティとインプレッションの違い
インプレッションは、広告をロードする時点で計測されるため、ユーザーが広告コンテンツを視認できる位置までスクロールをしていなかった場合などにおいても、1インプレッションとしてカウントされてしまいます。
この計測指標は広告を配信する側の広告主からすれば、不確実性が高く、無駄な広告費を支払っている疑いを持たざるをえません。
それにより近年、視認性を重視したビューアビリティーという概念が生まれました。
ビューアビリティの計算式
ビューアビリティは、以下にて算出できます。
算定式:ビューアビリティ(%)=ビューアブルインプレッション/総インプレッション
※IAB(Interactive Advertising Bureau)は、ビューアブルインプレッションを「広告枠の面積の50%以上が、少なくとも1秒間は閲覧できる状態になっているインプレッション」と定義。
ビューアビリティ誕生の背景には、アドフラウド問題が大きく関わっている
ビューアビリティ誕生の背景として、アドフラウド問題が挙げられます。アドフラウドとは、ディスプレイ広告における広告詐欺のことです。
広告費をだまし取るために不正にbotなどにインプレッションやクリックを発生させ、成果費用を水増しする手法を指します。
DSPを中心とするディスプレイ広告においては、CPM課金(インプレションベースの課金形式)がメジャーな課金形式となっています。すなわち、広告がロードされれば媒体社の収益になるということです。プログラマティック広告市場の拡大に伴い、この仕組みを悪用する悪質な媒体社が、botによる不正インプレッションにより自社の広告収益を水増しする事例が見受けられるようになりました。
これらの問題に対し、近年デジタルマーケティング業界全体で危機意識が高まっており、その様な背景の中で生まれた指標が、ビューアビリティです。
ビューアビリティ計測ツールを提供する企業一覧
Integral Ad Science
インテグラル・アド・サイエンス(以下IAS)は、アメリカニューヨークに本社を持つwebメディアの品質評価・広告検証事業のリーディングカンパニーです。国内最大手の広告代理店である電通は、IASやモメンタム(後述)と包括契約を結び、電通が提供する電通PMP取引において広告主に、各社のテクノロジーを無償提供しています。
Momentum株式会社
モメンタムは、日本国内におけるアドベリフィケーション(DSPやアドエクスチェンジなどを通し配信された広告が、広告主のイメージ低下、ブランド毀損を招くようなメディアの広告枠に配信されていないか、また、ユーザーが認識できる場所に広告がちゃんと掲載されているか、を確認してコントロールするためのツール)ベンダーとして先駆け的存在の企業です。2017年7月にSyn.ホールディングスのグループとなりました。
まとめ
如何でしたでしょうか?ビューアビリティは、プログラマティック広告における広告取引の透明性を求める動きにおいて、非常に重要な計測指標となり得ます。アドフラウド問題については、ベンダー、代理店、媒体社、広告主、それぞれが強い意志をもって、対峙していかねばいけません。より透明性が高く、広告主、媒体社、消費者がいずれもwin-win-winになれる広告取引が求められています。
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