インターネット広告市場は専門用語が多く、業界に身を置いた事がない人からすれば、仕事内容のイメージが持ちづらいですよね。
また、業界内の人にとっても、アドテクベンダーで築いたキャリアがその先どこに繋がるのか、分かりにくかったりします。
今日は、アドテクベンダーでの仕事内容・キャリアについてお話します。
アドテクベンダーの仕事内容・キャリア~営業編~
アドテクベンダーとは
アドテクベンダーとは、アドテクノロジープロダクトの企画・開発・販売を行っているプロダクトベンダーの事です。
アドテクについては、こちらの記事を参照してください。
今現段階においてのアドテクベンダーとは、
・DSP・SSP・DMP・広告効果測定ツール
を企画・開発・販売している会社が大半です。
アドテクベンダーの組織体制
勿論企業毎に微妙に異なりますが、アドテクベンダーの組織体制は大半が下記の様になっています。
・エンジニア
プロダクトの開発、改善、運用を担当
・ディレクター
エンジニアと営業の間に立ち、
営業側からのプロダクト改善要望などを受け取る。組織の潤滑油であり、プロダクトサイドに立つことが多い
・広告運用
自社プロダクトを提供している顧客(広告主)の広告運用を代行する
・営業
自社プロダクトのセールスおよびアカウントマネジメントを行う
営業の仕事内容
まず、アドテクベンダーの販売チャネルは二つあります。
・直接広告主に対し営業活動を行う販売チャネル(直販セールス)
・広告代理店に対して営業活動を行う販売チャネル(代理店セールス)
代理店セールスと直販セールスでは、仕事内容が大きく変わってきます。
通常ほとんどのアドテクベンダーは代理店セールス部隊と直販部隊を別々の部、課で管理しています。
会社によっては、直販も代理店セールスも一人の営業担当が担当する体制になっている会社もありますが、珍しいです。
入社前に自分が代理店セールス、直販セールスどちらの担当になるのか認識していなければ、思わぬミスマッチに繋がる可能性もあります。
直販セールスの場合
直販の営業担当は
・アドテック・MarkeZine Day などの展示会、見本市、カンファレンスなどで獲得したインバウンドの問い合わせ
・HPや広告経由で獲得したインバウンドの問い合わせ
・新規のテレアポ
等を通して顧客開拓を行います。
アポイントメントが獲得できた顧客へ訪問した際に、webプロモーションに関するヒアリングを行います。
・今回のプロモ―ションの概要、目的、予算
・現状施策と課題 等
ヒアリング内容を元に、自社プロダクトの提案資料を作成します。
プロダクト導入が決まったあとは、
社内の運用担当者や、クライアントの代理店や他社のアドテクベンダーなど複数のステークホルダーと連携をしながら出稿~配信~レポーティングまで一連の業務に責任を持ちます。
クライアントと中長期に渡り良好な関係を築く事で、解約防止やアップセルに繋がる為、
その後も継続してクライアント訪問を行います。
代理店セールスの場合
代理店セールスの担当者は主に電博系列のデジタルエージェンシーや、独立系のネット専業代理店に対する営業活動を行います。
クライアントである広告代理店に出向き、啓蒙活動を行ったり、キャンペーンを企画したりして、
自社のプロダクトを広告主に対するデジタルプロモーション支援に活用してもらえるように営業活動を行います。
クライアントである広告代理店とのコミュニケーションも重要ですので、会食が発生する事も多々あります。
代理店担当者の困りごとや広告主のニーズをキャッチアップし、プロダクトへフィードバックするのも大事な役割です。
アドテクベンダーにおけるキャリア
ネット広告代理店との違いは?
広告代理店
【メリット】
多様なソリューションを組み合わせて複合的な提案ができる
多様な商材を扱うことができる
【デメリット】
自社プロダクトを持たない
プロダクトベンダー
【メリット】
未来のトレンドを先読みする、技術に対する理解が高くなる
クライアント要望に合わせて、自社プロダクトを改善していける
【デメリット】
自社プロダクトしか扱えない
アドテクベンダーにおけるネクストキャリア
アドテクベンダーの営業を経た次のキャリア例としては、下記の通りです。
1.マネ―ジャー 管理職への登用
2.ネット専業代理店
3.同業他社のアドテクベンダー
4.事業会社のデジタルマーケター
5.デジタルマーケティング領域における商品企画
1.マネ―ジャー 管理職への登用
デジタルマーケティング業界は、平均して従業員の年次が若く、伴いマネジメントレイヤーの年齢も若くなります。
具体的には、20代後半で相当な役職についている人も沢山います。
早いタイミングでマネジメントレイヤーを目指せる事から、社内でのキャリアアップを目指す事が可能です
2.ネット専業代理店
アドテクベンダーでのキャリアを経由した後に、ネット専業代理店に転身するケースも比較的多くみられます。
その際ですが、「職域を拡げたい、ツールの営業ではなく、プロモーションのコンサルティングを行いたい」
という声が大半です。
プロダクトベンダーの魅力は、自社プロダクトで市場を切り開いていく、市場をより良くしていくことにありますが、
デジタルマーケターとして広く経験を積みたい、と考える人にとっては物足りない事もあります。
そのような場合、ネット専業の代理店やコンサルティング提供の代理店に転身するケースが多くなります。
3.同業他社のアドテクベンダー
アドテクベンダーも今や国内に相当数存在しています。
元々プロダクトベンダーに在籍している人は、自社の技術力を武器に市場を切り開いていきたい、と考えている人が多いはずです。
その為、より共感出来得る技術やプロダクトを保有しているアドテクベンダーに転身するケースもあります。
4.事業会社のデジタルマーケター
アドテクベンダーで営業を行う人にとっては少しハードルの高い選択肢かもしれません。
プロダクトが一つに絞られており、極論ソフトウェアの営業担当としてキャリアを築くわけですから、幅広い商材を用いてプランニングや運用を行ってきている代理店出身者の方が優勢です。
とはいえ扱うプロダクトによりますし、その方のデジタルマーケターとしての知見や経験にもよるので、一概には断定できません。
実際筆者はアドテクベンダー出身ですが、先輩社員の方々は、ナショナルメーカーのマーケターとして活躍されています。
直販部隊の場合は、クライアントである広告主側のリテラシーも高く、クライアントとの距離が近まりやすい為、信用を得れた場合は、引き抜きなども十分に起こり得ます。
5.デジタルマーケティング領域における商品企画
既存のアドテクベンダーや、技術開発に対して豊富な予算を持つテクノロジー企業(国内ではリクルートグループや楽天など)では、
日々新しいアドテクプロダクトの研究開発、商品企画が行われています。
アドテクに対する深い造詣を持つ人材にとっては、べストマッチが期待できるポジションです。
条件も高給与が期待できます。
まとめ
アドテクベンダーは、デジタルエージェンシーよりも取り扱える商材に限りがありますが、
その分、市場を切り開いているという自負、アドテクノロジーという先端技術に対する深い造詣を得る事が出来ます。
事前に価値観がマッチしているか、技術力やプロダクトにリスペクトを抱けるか、等の企業選定が重要です。
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