digireka!では、デジタルマーケティング領域専門の転職支援を実施しています。日本のIT・デジタルマーケティング業界を長きにわたって牽引してきた存在といえば、ヤフー株式会社です。いまや検索ポータルのみならず、様々な事業を展開する大企業となっていますが、直近の業績はどうなっているのでしょうか?今日は、転職人気企業でもあるヤフーの2018年第2四半期決算から、同社の業績について読み解いていきたいと思います。
2018年第2四半期決算概要
まずは、決算概要から見ていきましょう。
売上収益はYonYで8.3%の伸長です。営業利益、EBITDAともにYonYで減少となっていますが、2017年通期決算で発表された2018年度の営業利益見込みから大きく乖離はありません。第1四半期で475億円、第2四半期で355億円とのことで、このままいけば上方修正されるとみて相違ないでしょう。
ちなみに、EBITDAとは、税引前利益に特別損益、支払利息、減価償却費を加えて算出される利益を指します。
【昨年の決算発表にて2018年度の営業利益見込み↓】
新たな挑戦への費用とありますが、具体的には
・メディア(広告)関連事業におけるコンテンツ調達関連費用等
・コマース関連事業におけるモバイルペイメントの立ち上げ費用等
の事を指します。
同社は昨年通期決算発表において、動画コンテンツ拡充を推進していくことを表明しています。
また周知の事実かもしれませんが、オフライン決済への参入も進めています。
これらの投資コストに伴って、今期も引き続き営業利益はダウントレンドになるでしょう。
売上収益構成
売上収益構成ですが、下記の通りになっています。
デジタルマーケティング業界に在籍していると、意外にもこの事実に驚くのですが、コマース事業の方が売上収益比率が高いんですね。
詳細を見てみましょう。
メディア事業においては、検索連動型広告売上収益の増加によってYonYで4.8%の成長となっています。
コマース事業においては、ショッピング広告売上収益の増加・アスクルGの売上収益の増加によってYonYで12.8%の増収となっています。
各事業の状況
各事業毎にみていきましょう。
メディア事業
ディスプレイ広告・検索連動型広告共に収益増となっています。
ディスプレイ広告においては、動画広告の売上拡大が収益向上に寄与しています。同社では動画広告を成長ドライバーと捉え、7月にはYahoo! JAPANトップアプリで動画広告をローンチしています。
検索連動型広告においては、
・広告の表示デザインを変更(情報ごとの区切りを明確にし、必要な情報を見つけやすくなるよう刷新)
・カテゴリ補足オプション機能を提供(商品やサービスの特性に合う小見出し、補足内容を追加可能に )
上記二点の施策実施に伴う広告単価の向上が収益向上に寄与しています。
コマース事業
コマース事業は順調に、年々増収を続けています。
ショッピング事業の伸長がコマース事業の成長を牽引しています。
これには、
・Yahoo!ショッピング内の月額462円の会員サービス「Yahoo!プレミアム」会員による取扱高比率拡大
・ソフトバンクとの連携の大きく二つが寄与しています。
「Yahoo!ショッピング」取扱高の内、「Yahoo!プレミアム」会員による取扱高比率は75%にまで向上しています。
お金を払ってでも使いたいという優良顧客が「Yahoo!ショッピング」を使っていると想定できます。
また、ソフトバンクとの連携をスタートしてから1年間で、ソフトバンク会員による「Yahoo!ショッピング」月次注文者数推移は1年間で3倍超に拡大しています。
2017年2月にソフトバンク会員が「Yahoo!ショッピング」を利用するといつでも10倍のポイントを付与するキャンペーンをスタートしたことで、既存のソフトバンク会員の利用者数が拡大したと考えられます。
これらに加え、ショッピング広告の広告テイクレート(ショッピング広告売上高÷ Yahoo!ショッピング取扱高)も順調に上昇し、ショッピング広告の大幅な売上収益を得られたことで、コマース事業は増収を維持しています。
モバイルペイメント事業
ヤフーの成長戦略第三の矢となり得るモバイルペイメントですが、どのような状況なのでしょうか。
【前Qの2018年第1四半期決算資料】
【第2四半期決算資料】
ソフトバンク、ソフトバンク・ビジョン・ファンド出資先のインドのスマートフォン決済サービスにおけるリーディング企業「Paytm」と三社連合のうえ、PayPay(株)を設立し、LINE Payや楽天ペイなどの競合サービスとしのぎを削ります。後発組ではあるものの、Yahooウォレットの普及率やソフトバンクとの連携などにより、いかにして利用者数を増やせるか・加盟店舗を増やせるかが鍵になります。
今後の戦略について
既存・新規事業に対する積極的な投資を続けつつ、着実に増収を続けるヤフーの今後の戦略ですが、
・オフライン統合
が重要なキーワードになりそうです。
昨年通期決算発表において、
・eコマース取扱高№1
・インターネット広告収益№1
・モバイルペイメント取扱高№1
を目指すと発表していますが、これはつまるところ、「Yahoo独自の経済圏を繋げ、どこまで拡大していけるのか」という話です。LINEも楽天も、巨大プラットフォーマーは他も同様です。
モバイルペイメントをハブとして、オフラインとオンラインを融合させた利用者接触頻度を最大まで高めつつ、新規事業を展開していくことが想定されます。
ビッグデータ活用を通して、独自スコアを用いたユーザーに対するサービス提供を目指すことも発表しています。
ヤフーが独自経済圏を強くするためには、Yahoo!JAPAN IDのユーザー拡大点エンゲージメント向上が最も重要です。
こちらも接点強化のための取り組みと言えます。
Yahooの強みである広告と、PayPayを統合したソリューションも展開していくようです。
まとめ
如何でしたでしょうか?新規事業への投資により営業利益は減少傾向ではありますが、順調に増収を続けています。
つまるところ、巨大プラットフォーマー各社はいずれも、「独自の経済圏を繋げ、どこまで拡大していけるのか」が大元のテーマになっています。
そのため、現在の事業投資は至極当然の判断といえるでしょう。
既存のソフトバンク店ソフトバンク・ビジョン・ファンドとの連携により、どこまでオフライン、オンラインでIDデータを拡大していけるのか、が今後の重要課題になり得るでしょう。
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