digireka!では、デジタルマーケティング領域専門の転職支援を実施しています。昨日、電通への自社株売却および資本業務提携および、電通の持分法適用関連会社となることが発表されたセプテーニ。業界人の方々は驚かれたのではないでしょうか。ちなみに筆者のFacebookのタイムラインはこの話題で持ち切りでした。今日は、セプテーニの2018年通期決算から、同社の業績について読み解いていきたいと思います。
2018年通期決算概要
まずは通期決算概要から見ていきましょう。
セプテーニの主要事業は、
・インターネット広告代理事業を展開するネットマーケティング事業
・マンガアプリ「GANMA!」を展開するメディアコンテンツ事業
の二つになります。
ネットマーケティング事業の収益が屋台骨となり、新規事業であるメディアコンテンツ事業に投資を行っています。
記載にある通り今期は大幅減益となっています。これは、
・2017年に実施した従業員に対する待遇改善
・体制強化のための人材採用(前年比168名の増員)に紐づく人件費の増加
・人員増に対応する本社事務所の増床による伴う賃料等の増加
・クリエイティブ投資に伴う原価費の上昇
等に対し、ネットマーケティング事業部の売上が追い付かなかったことが要因です。
ただし、YonYで全体収益は増収しており、営業利益・利益ともに徐々に回復していくことが想定されます。こちらに関しては後程まとめます。
ちなみに、Non-GARP営業利益というのは、「調整済みの営業利益」と認識してもらって相違ありません。
GARP(米国会計基準)に沿って算出されたGARP営業利益から微調整した営業利益のことです。
収益構成
セプテーニは国際会計基準であるIFRS(アイファース)を導入しています。
IFRSが適用されている場合、売上単位ではなく収益単位で計上するため、収益単位での決算発表になります。
総売上高から媒体仕入れ原価を差し引いた収益額と認識して相違ありません。
ネットマーケティング事業が収益の殆どを占めています。新規事業であるメディアコンテンツも全体比でみると微増ながら、着実に成長しています。
各事業の状況
各事業毎に見ていきましょう。
ネットマーケティング事業
同社は、ネットマーケティング事業における注力領域に
・海外
・動画
・ブランド広告
を掲げています。冒頭で、営業利益・利益ともに徐々に回復していくことが想定されます。と述べましたが、この三つの注力領域の成長がその要因となるでしょう。
人件費等に伴う営業利益率の低下に加えて、大型案件の縮小によるダメ―ジを受けたのが今期の決算になります。
しかし、市場の成長が強く見込まれる海外、動画、ブランド広告において着実に収益増加を果たしています。
これに伴い、ネットマーケティング事業部の収益もYonYで増収しています。四半期の収益も同社過去最高額となっています。
先行投資としての人件費当コスト高騰に対し、注力領域の成長が追い付けば、営業利益・利益ともに復調するでしょう。
図で見てもらうと分かりやすいと思います。
収益、営業利益ともに復調傾向にあることが分かると思います。
今後、注力領域でどこまでトップラインをあげていけるかが重要になりますが、市場は追い風のため、おそらく復調が期待できるのではと見ています。
メディアコンテンツ事業
広告宣伝費の削減に伴い、収益がYonYで微減しています。
ダウンロード数自体は増加しており、広告宣伝費を増加することなく、プロダクト改善でARPUをどこまで伸長できるかが重要になってきます。
GANMA!の収益源は、
・広告収益
・ユーザー課金収益
の二つのチャネルによるものです。
注力している課金収益は伸長している為、引き続きコンテンツ強化によるオーガニックな成長を目指しつつ、ARPUを高めていくことで黒字化を図っていると想定されます。
下記図は同社が発表している来期の業績予想ですが、引き続きGANMA!への投資を継続していくことが分かります。
GANMA!のプロダクトはネットマーケティング事業において注力しているブランド広告とのシナジーも見込める事から、継続投資によってプロダクト成長を目指すのは当然の流れだと思います。
電通によるTOB及び資本・業務提携
2018年度決算発表と同タイミングで、電通によるTOB及び資本・業務提携が発表され、デジタルマーケティング業界においては、SNS中心に驚きの声が多数あがっています。これに伴い、セプテーニは電通の持分法適用関連会社となります。現在セプテーニはJASDAQに上場していますが、これは継続されるとのことです。
電通、セプテーニともに大きなシナジー効果が見込める事が明らかです。
特にセプテーニにとって本提携は、顧客基盤の強化ならびにデータ資産の相互活用の観点で有力でしょう。GANMAの広告枠販売においても、強力なパートナーになるはずです。今後に注目です。
まとめ
如何でしたでしょうか?今日は、セプテーニの業績について、決算書をもとに読み解いていきました。決して悲観的な内容ではないものの(むしろ先行投資は合理的で、注力領域も成長傾向であるため今後に大きな期待が持てるレベル)なかなか思い通りの成長スピードで事業展開出来ているとは考えにくい同社の決算でしたが、成長スピードを飛躍的に向上させるためには、電通との資本業務提携は大きな意味を成します。今後に要注目です。
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